素晴らしき新世界 第3話・第4話では、ムンドの顔にかつての王を重ねてしまうダンシムと、そんな彼女を見過ごせなくなっていくセゲの距離が少しずつ変わっていきます。広告モデルの契約、ジヒョとの対立、オクスンの店をめぐる再開発の問題まで重なり、現代でもまた他人の思惑に巻き込まれそうになるダンシムの姿が印象に残ります。胸の高鳴りを自覚し始めた二人が、この先どう向き合っていくのか気になる流れでした。
素晴らしき新世界:第3話あらすじ
ムンドの顔を見た瞬間、ダンシムはその場で動けなくなる。現代を生きる男のはずなのに、彼女には自分を追い詰めた王の姿にしか見えない。ムンドが近づくと、ダンシムは思わずセゲにしがみつく。だが混乱はそれだけで終わらず、“張禧嬪憑依”で話題になったソリを追って放送関係者まで集まり、ダンシムは切り抜けるために倒れたふりをする。セゲは事情を聞くより先に彼女を背負い、その場から連れ出す。
落ち着いてからも、ダンシムの頭にはムンドの顔が残り続ける。あの男は誰なのかと問われたセゲは、兄と呼ばれる立場ではあるが、実際には他人以下だと突き放す。ダンシムにとっては前世の恐れの象徴であり、セゲにとってもまた今の人生で避けて通れない相手だった。
その頃のセゲも、ムンドへの苛立ちを抑えられずにいた。仕事でも先を越され、ムンドは変わらず整った顔で余裕を見せる。セゲが血筋しか誇れない男だと皮肉れば、ムンドも祖父の前ではそのきれいな顔を守っていろと返す。二人の間にあるのは、単なるライバル意識では済まない冷たいわだかまりだった。
そこには幼い頃から続く積み重ねがある。ムンドは祖父の前ではおとなしく振る舞いながら、裏ではセゲを押さえつけてきた。祖父はその本性に気づかず、ムンドの言葉を信じていつもセゲを悪く見る。責められるのはいつも自分だったからこそ、セゲは今でもムンドの笑顔を見るだけで気持ちが荒れる。
一方でダンシムは、セゲのカードを持ったまま姿を消していた。気になったセゲはソン室長に居場所を調べさせ、ソリの住まいまでやって来る。そこで見たのは、古びた部屋の前でパンだけを口にしているダンシムの姿だった。いつも人を振り回している女が、そんなふうに空腹をしのいでいると知り、セゲは思わず立ち止まる。
そのあと、肉の匂いに反応したダンシムを、セゲは黙って焼肉店へ連れて行く。ダンシムは並んだ肉を見て顔を明るくし、焼けるのを待ちきれないまま次々と口へ運ぶ。久しぶりに満たされるように食べる姿に、セゲはあきれながらも目を離せない。話題性のある女として扱うだけでは済まない感情が、少しずつ混じり始めていた。
その夜、セゲは不思議な夢を見る。朝鮮の宮中で、自分と同じ顔をした大君が危うい立場のダンシムを助け出していた。やがて宮中で再び向き合い、自分を怖がらない彼女へ名を尋ねる。その場面で目を覚ますが、セゲの目元には涙が残っていた。理由の分からない感情だけが、夢の余韻とともに残る。
現代では、会社で広告モデルの選定が進んでいた。候補はトップスターのジヒョと、話題を集めたシン・ソリ。流れだけを見ればジヒョが有利だったが、予想以上にソリへの反応は強く、投票ではソリが選ばれる。結果を見たセゲは、平静を装いながらもわずかに表情を緩める。
だが、話はそこで終わらない。ソリの所属事務所は契約満了が近いことを理由に広告契約を止め、ジヒョ側へ話を回そうとする。同じ事務所なら、無名のソリより売れているジヒョを押したいのは明らかだった。ようやく見えた仕事が、また別の力で止められそうになる。
その話を知ったダンシムは引き下がらない。自分も契約というものをしてみようではないかと強気に電話を入れ、そのままセゲの会社へ向かう。だが、そこで待っていたのはジヒョと所属事務所の代表だった。ジヒョは無名の代役が自分の前に立つことすら受け入れず、ダンシムの頬を打つ。
ダンシムは黙って受け流さない。その場でやり返し、空気を一気に凍らせる。これまで押されるばかりだったソリとは違い、今のダンシムは相手が誰でも簡単には引かない。事務所もジヒョも、その変化に言葉を失う。
そこへセゲが現れる。事務所側が好きに話を進める中、セゲは迷わず口を開く。シン・ソリの新しい所属先、Biojeiエンターテインメントの代表チャ・セゲだと名乗り、その場の流れをひっくり返す。追い込まれていたダンシムの前に立ち、契約書を差し出して、自分のもとへ来いと言うように彼女へ向ける。
素晴らしき新世界:第4話あらすじ
セゲはソリへ契約書を差し出しながら、まるで価値のある商品を扱うような冷たい言い方をする。だがその一方で、頬の傷にはすぐ気づき、水まで渡して気にかける。ソリはその態度を恋とは受け取らず、自分の熱心な味方だから助けてくれるのだと思う。こうして二人は、気持ちが動いているのに、それを別のものとしてすれ違ったまま向き合っていく。
ソリは結局、セゲの会社と契約する。無名俳優だったソリは、ようやく所属先を得て動き始めることになるが、セゲは最後までそれを仕事だと言い張る。けれど裏では、彼女を守るために事務所の整理まで進め、余計な手間を自分から抱え込んでいた。なぜそこまでするのか、自分でも分からないまま苛立つ。
その頃、ソリは以前から気になっていた子犬をまた見つける。見過ごせず警察署まで連れて行き、騒ぎの中でまたセゲに助けられる。自分の狭い部屋では面倒を見きれないと判断したソリは、その犬をセゲへ預ける。セゲは犬アレルギーなのに断れず、結局その子犬を抱えることになる。文句を言いながらも手放さないところに、ソリへの甘さがにじむ。
所属後のソリは、俳優として生きるために現代のドラマを見ながら演技を学び始める。有名な場面をまねしながら、言葉の出し方や感情の見せ方を自分なりに試していく。朝鮮で生き抜いた強さはそのままに、今度は売れない俳優シン・ソリとして前へ出ようとする。
やがてソリは、セゲへ感謝を伝えたくて手紙を書く。自分を助け、気にかけ、味方のように立ってくれる相手は初めてだった。恋とまでは言い切れなくても、その気持ちを文字にして渡す。ところがセゲはその手紙を受け取ると、表では平静を装いながらも内心では大きく揺れる。家へ戻ってからも何度も読み返し、漢字まじりの文を自分に都合よく受け取り、ソリが自分に好意を持っているのではないかと一人で舞い上がってしまう。
その後、ソリは祖母オクスンの店を訪ねる。だがそこには、再開発の同意を迫る荒っぽい連中が押しかけていた。ソリは相手が大柄でも退かず、覚えたての現代ドラマのまねまでしながら祖母を守ろうと前へ出る。少し笑ってしまいそうな動きでも、祖母を守りたい気持ちは本気だった。
空気が危うくなったところで、またセゲが現れる。ソリをかばい、相手を止めるが、その場には祖父ダルスの目もあった。セゲは祖父を意識した瞬間、ソリとの関係を否定するような態度を取ってしまう。助けに来たはずなのに最後には距離を置くような言葉を向けられ、ソリは深く傷つく。
さらにそこへムンドまで現れる。ムンドは祖母のことを口実にソリへ近づき、セゲと親しくなれば助けてやれるような話を持ちかける。その言葉を聞いた瞬間、ソリの中には朝鮮時代の記憶がよみがえる。王アンジョンが大君イ・ヒョンの恋人になれと迫り、自分を権力の道具として使おうとしたあの時の記憶だった。
ソリは現代でもまた、誰かの都合の中で動かされる立場に置かれていると知る。祖母を守りたい思いまで利用され、セゲとの関係さえ自分のものではなく、誰かに使われるもののように見えてしまう。朝鮮でも現代でも、また同じ場所へ戻されるのかと感じたソリは、こらえきれず涙を流す。
そのあとセゲはソリのもとを訪ねる。素直に謝ることも、好意を言葉にすることもできず、遠回しな言い方ばかりになる。ソリはそれを見て、また同情されているだけなのではないかと受け取る。セゲは自分でも、なぜソリだけは簡単に割り切れず心を乱されるのか分からないまま、彼女の前で言葉を探し続ける。
ソリはセゲの胸へそっと手を当てる。鼓動ははっきり速くなっているのに、ソリはそれを気づかないふりで受け流す。するとセゲは、もう曖昧なままではいられないというように、その手ごとソリを引き寄せる。ソリの体はそのままセゲの胸へ抱き込まれ、二人は強く抱き合ったまま動けなくなる。
感想
ムンドを見た瞬間にセゲへしがみつくダンシムの反応が、とても切実でした。現代のムンドは穏やかな表情をしているのに、ダンシムには王アンジョンの記憶がそのまま重なってしまう。その一方で、セゲにも幼い頃からムンドに押さえつけられてきた傷があり、二人が同じ相手に別々の形で苦しめられているところが強く残りました。
焼肉を前に目を輝かせるダンシムを、セゲがあきれながらも見つめてしまう場面も良かったです。カードを持って消えた女を追って来たはずなのに、パンだけで済ませている姿を見て店へ連れて行くところに、もう損得だけでは動いていない感じがよく出ていました。手紙を何度も読み返して一人で舞い上がるセゲも、普段の冷たい態度との落差があってかわいかったです。
ジヒョへやり返すダンシム、子犬をセゲへ預けるソリ、オクスンの店を守ろうとして前へ出る姿が重なって、彼女が誰かの代わりではなく、自分の足で立とうとしていることが伝わりました。だからこそ、ムンドが祖母のことまで使って近づく場面は見ていてつらかったです。
最後にセゲがソリの手ごと引き寄せた抱擁は、言葉より先に気持ちが動いてしまった二人らしくて、まだ不器用なままの温度が残る終わり方でした。
