素晴らしき新世界 第1話・第2話は、朝鮮時代で追い詰められたカン・ダンシムが、現代の無名女優シン・ソリとして目覚めるところから物語が動き出します。時代劇の撮影現場、景福宮、博物館、そしてチャ・セゲとの出会いまで、過去を背負った女性が新しい世界で居場所をつかもうとする姿に引き込まれます。なぜセゲとムンドの顔が過去と重なるのか、その違和感が先を見たくさせます。
素晴らしき新世界:第1話あらすじ
約300年前の朝鮮時代、宮中では災いが続き、その元凶のようにカン・ダンシムが追い詰められていた。低い身分から王の側室になったダンシムには、王子と別の側室を害そうとした罪まで着せられる。ダンシムは、生き延びようとしただけだと抗うが、王命によって毒を飲まされる。その裏では巫女ファンが血を使った儀式を行い、空には異変が起きる。日食のような不吉な空の下で、ダンシムはある男の姿を見たまま意識を失う。
死んだはずのダンシムが次に目を開けたのは、現代の韓国だった。しかも入っていたのは、無名女優シン・ソリの体だった。目覚めた場所は時代劇の撮影現場で、ソリは人気女優ジヒョの代役として側室役を演じていた。状況が飲み込めないダンシムは、周囲の俳優やスタッフを本当の敵だと思い込み、撮影現場を大混乱に陥れる。
一方その頃、財閥御曹司チャ・セゲは、スタートアップ企業を率いる冷徹な実業家として動いていた。暴言を吐き、従業員に物を投げつけたように見える動画が出回って炎上していたが、セゲはその映像がディープフェイクだと見抜く。怒るどころか、その技術を事業として利用できると考え、すぐに調べさせる。世間の悪評にも顔色を変えず、損得だけで判断する男だった。
ダンシムは巫女ファンの力で別人の体に入ったのではないかと考え、まずは黙って様子を見ることにする。だが古風な言葉遣いのせいで目立ち、周囲からはますますおかしな目で見られる。人気女優ジヒョが自分を見下していることもすぐに見抜き、ダンシムは現代でも弱い立場のまま黙っているつもりはないと決める。
景福宮の外へ出たダンシムは、目の前に広がる現代ソウルに息をのむ。高い建物、光る看板、走る車、人々の持つ見慣れない道具まで、何もかもが理解できない。混乱したまま車道へ出たダンシムは、セゲの車の前に倒れ込む。セゲは当たり屋だと決めつけて冷たく責め、ダンシムも黙って引かない。怒ったダンシムはセゲを叩き、葉を投げつけて応戦する。周囲の人々が騒ぎながら撮影を始めると、セゲはそれ以上手を出さず、病院へ行けと名刺だけを渡して立ち去る。最悪の形での初対面だった。
その後、ダンシムは朝鮮時代の展示を行う博物館へ紛れ込む。そこで目にしたのは、自分が描いた梅の絵だった。だがその作品は、王妃ムン・オンジョンの名で展示されている。さらに案内人たちはダンシムを歴史に残る悪女として語り、研究生までそれを当然のように口にする。自分が生きた時間も、自分が残したものも、すべて別の形で歪められていたと知り、ダンシムは大きな衝撃を受ける。
傷ついたまま歩くダンシムの前に、巫女ファンによく似た占い師が現れる。占い師は荒唐無稽な話だと笑わず、ダンシムが時をさまよう存在になっている可能性を受け止める。ようやく自分の身に起きたことを言葉にできたダンシムは、にわか雨に打たれながら、自分が今も生きているのだと実感する。そしてこの時代でも生き抜くために、富も力も持つセゲを利用しようと決める。
その頃、セゲの会社では韓国文化を題材にした新プロジェクト「Dynaestie」のオープンキャスティングが進んでいた。そこへダンシムが紛れ込み、ジヒョまで現れる。ジヒョはまたしてもソリを見下すが、ダンシムは少しも引かない。オーディションが始まると、ジヒョは男性審査員の前でおとなしく従順な顔を見せるが、ダンシムは最後まで態度を変えず、自分のまま立ち続ける。
審査の場でダンシムを見つけたセゲは驚くが、ダンシムが持ちかける取引には耳を貸さず、そのまま立ち去る。だがダンシムは諦めず、セゲを追って車の近くまで行く。その瞬間、空に再び日食が起こり、ダンシムは嫌な気配を感じ取る。直後、抗議者の服を着せられた人形が上から落ち、セゲの車の上に激突する。破片が飛び散る中、セゲはとっさにダンシムをかばう。ダンシムは目前の危険とともに、またこの男と深く関わることになると感じる。
素晴らしき新世界:第2話あらすじ
ダンシムは朝鮮時代の悪夢を見て飛び起きる。夢の中では王がやさしく手を差し伸べたかと思えば、次の瞬間には毒を飲ませていた。息を整えたダンシムは、現代でもまた命を狙われるかもしれないと感じ、セゲの前で自分は危険を察知できる、護衛になってやると申し出る。だがセゲは怪しい女を見るような目を向け、そんな話を信じるはずもなく突き放す。
それでもセゲは完全に放っておかず、秘書ソンに命じてダンシムを家まで送らせる。車に乗ったダンシムは少しの速度にも驚き、これでは馬よりよほど危ないと顔をしかめる。ソンはそんな様子を見ながらも、余計なことは言わず送り届ける。
一方、セゲは家族の食事の席へ遅れて現れる。祖父ダルスの前には親族たちがそろい、従兄弟ムンドも穏やかな顔で座っていた。ムンドは誰に対しても感じよく振る舞い、家族の中で好印象を集めている。だがセゲはそんな空気にも親族たちの探り合いにもうんざりし、長くその場にいたくない顔を見せる。
前に起きた抗議者たちの騒ぎは、未払い賃金をソンが処理したことでいったん収まっていた。だがセゲは落下物の件までそれで片づくとは思わず、誰か別の人間が動いているのではないかと疑う。その流れで、何度も自分の前に現れるダンシムのことも気にかかり、ソンにシン・ソリの身元を調べさせる。ところが出てきたのは、売れない無名俳優の情報ばかりで、裏に危ない過去は見つからない。
ダンシムはシン・ソリの家へ戻る。そこで待っていた祖母オクスンは、遅く帰ったソリを心配しながら、少ない金を手渡して励ます。狭い部屋も薄い壁も、宮中とはまるで違う貧しい暮らしだったが、オクスンのぬくもりだけはダンシムの胸に残る。食事を前にしても、味の薄さに驚きながら礼を忘れない。
そこへ近所のグァンナムが騒音に文句をつけに来るが、ダンシムは一歩も引かずに言い返す。周りの住人たちは、いつものソリとは違う強さに目を丸くする。気の弱い女だと思っていた相手が急に牙をむいたようで、グァンナムも気圧される。
その夜、ダンシムはまた過去の記憶に引き戻される。宮中に入ったばかりの頃、他の宮女たちにいじめられ、狭い箱のような場所に閉じ込められて泣きながら助けを求めていた。あの時の恐怖は今も体の奥に残っていた。一方のセゲもまた、朝鮮風の庭で眠るような夢を見て、どこかで女性の助けを呼ぶ声を聞く。
やがてダンシムはソリの日記を見つける。そこには、元子役だったソリが今は売れない俳優としてくすぶり、何をしても踏みつけられ、祖母のために成功したいと願っていた気持ちが並んでいた。ダンシムはその文字を追いながら、これはただ借りている体ではないと知る。ソリが生きたかった人生まで、簡単に捨てるわけにはいかないと決める。
それからのダンシムは現代で生きるために動き出す。のぞきの男を捕まえ、勝手に食べ物を取るグァンナムを叱りつけ、分からないことは動画を見て覚える。歴史まで画面で学べる世の中に文句を言いながらも、使えるものは何でも使う。だが金はすぐ底をつき、セゲに自分を雇えと迫っても相手にされない。
困ったダンシムは占い師から金を借りるが、すぐに使ってしまい、今度は働き口を探す。ところが現代の仕事は簡単ではなく、強すぎる物言いも災いしてなかなか決まらない。そんな時、以前の時代劇現場で撮られていた映像が流れ始める。横暴な監督を告発するため助監督が流したものだったが、その中でダンシムは無名の代役とは思えない存在感を放っていた。
映像は一気に広がり、ネットではシン・ソリの名が注目される。セゲの会社でも、新ブランドの顔に使えるのではないかという声が上がる。セゲは最初こそあの女は使えないと拒むが、話題が消えず二週間たっても勢いが落ちないと知ると、競合に奪われる前に押さえるべきだと考え直す。ソンに居場所を探させるが、肝心のソリとはなかなか連絡がつかない。
その頃、ダンシムはグァンナムのつてでライブコマースの仕事に出ていた。最初は不慣れでも、いざ商品を手にすると言葉に力が宿り、人を引き込むように売っていく。紹介する品は次々と売れ、現場の空気まで変えてしまう。朝鮮で身につけた気迫や人を動かす力が、この時代でもそのまま通じていた。
だが栄養剤のような物を器に注いで飲もうとした瞬間、ダンシムの中で毒を飲まされた記憶がよみがえる。手が震え、息が詰まり、その場から逃げ出してしまう。監督は怒って追いかけ、殴ろうと腕を振り上げるが、そこへセゲが現れてその手を止める。
セゲは今度こそ彼女に近づき、自社ブランドに起用する話を持ちかけようとする。だがその前にムンドが姿を見せる。ダンシムはその顔を見た瞬間、血の気が引く。目の前にいるのは現代のムンドなのに、ダンシムの目には、かつて自分に毒を飲ませ処刑を命じた王の顔が重なっていた。
再び殺されると思ったダンシムは、咄嗟にセゲへ駆け寄り、自分の盾になれとしがみつく。動揺するダンシムを抱えるように受け止めたセゲの前で、ムンドは何も知らない顔で立っていた。そして過去の場面が重なり、箱に閉じ込められた若い日のダンシムの前に、半仮面をつけたセゲに似た男が現れ、彼女を助け出していた。
感想
ダンシムが現代ソウルに放り出されて、車やスマホや撮影現場を敵だと思い込む場面は、戸惑いの大きさがそのまま伝わってきました。笑える騒ぎにも見えるのに、本人にとっては宮中で追い詰められた記憶の続きでもあって、簡単にコメディだけで済まないところが印象に残りました。
博物館で自分の梅の絵が王妃ムン・オンジョンの名で飾られ、案内人たちから悪女として語られる場面はつらかったです。自分の言葉も作品も奪われたまま歴史に残っていると知ったダンシムが、ただ泣き崩れるのではなく、この時代でも生き抜こうと決めるところに、この人らしい強さを感じました。
ソリの日記を読んで、借りている体ではなくソリの人生まで背負うようになる流れも好きでした。オクスンの小さなお金、グァンナムへの言い返し、ライブコマースで人を引き込む姿がつながって、ダンシムが現代の武器を少しずつ手にしていくように見えます。
セゲにしがみついたダンシムの目には、現代のムンドではなく、かつて自分を追い込んだ王の顔が映っていたのだと思うと、二人の出会いが偶然では済まなくなってきました。
