ワンダーフールズ第1話・第2話では、1999年のヘソン市で起きる騒ぎの中へ、チェニとウンジョンが別々の入り口から近づいていきます。残された時間を意識しながら外の世界を夢見るチェニと、廃棄場の違和感や失踪の気配を追うウンジョン。その流れがぶつかることで、町の奥に隠れていた研究所の影が少しずつ見え始めます。誘拐まがいの計画や妙な液体、説明のつかない移動まで続き、にぎやかな話の中へ不穏さがじわじわ入り込んでくる回でした。
ワンダーフールズ:第1話あらすじ
ヘソン市では、ウン・チェニが祖母ジョンボクの食堂で手伝いをしながら過ごしていた。玉ねぎをむいていた最中、突然鼻血を出したチェニは病院へ行き、心臓の状態がかなり悪く、いつ止まってもおかしくないと告げられる。
残された時間が多くないと知ったチェニは、死ぬ前に外の世界を見たいと願う。祖母へ旅費を貸してほしいと頼むが、ジョンボクは簡単には取り合わない。チェニが食い下がっても話は動かず、その願いはその場で止められてしまう。
その頃、ヘソン市役所にはイ・ウンジョンがソウルから赴任してくる。街中でチェニを見かけたウンジョンは、周囲の職員から、あの子はこの町では有名な厄介者だと聞かされる。
夜になると、廃棄場ではキム・ボンパルが廃品を集めていた。だがそこで、ぬめりのある奇妙な液体に触れてしまう。体に異変を感じたボンパルは、そのまま姿を消し、現場には不穏な空気だけが残る。
数日後、ボンパルの知人が市役所へやって来て、ボンパルがいなくなったと訴える。だが職員たちはまともに聞こうとしない。そこへソン・ギョンフンも現れ、廃棄場へ危ないものが捨てられていると、また苦情を入れる。
ギョンフンは前から廃棄場の異変を訴えていたが、市役所では面倒な常連として見られていた。対応したウンジョンは、そこは私有地だから市役所は介入できないと説明する。ギョンフンは納得できずに食い下がるが、ウンジョンも規則を崩さず、二人は最初からぶつかる。
ボンパルの知人はウンジョンへ、ヘソン市では人が消えていること、20年前にも似たことがあったと話す。ウンジョンはその言葉に引っかかるが、その人物は宗教団体の関係者らに連れて行かれてしまう。
一方のチェニは、祖母に隠れて町を出ようとしていた。近所のカン・ロビンに金を借りようとするが、ロビンは雨漏りする部屋の修理に金を使ってしまい、貸せる余裕がない。チェニはそれでもあきらめず、荷物をまとめて出て行こうとする。
金物店で買い物をしたチェニは、同じ店に来ていたウンジョンと顔を合わせる。互いの買ったものが妙に怪しく見え、ウンジョンはチェニを疑う。チェニもその視線に警戒する。
その後、重いスーツケースを運ぶチェニを見たウンジョンは、中に危ないものが入っているのではないかと考える。中を確かめようとするが、チェニは拒む。もみ合っているうちにスーツケースが開き、雨の中へ荷物が散らばる。
だが中に入っていたのは服などで、ウンジョンの疑いは外れる。チェニは腹を立て、ウンジョンも気まずそうにする。
その頃、ギョンフンは家でも妻に責められ、花の仕事も廃棄場の問題も抱えて行き場をなくしていた。ギョンフンはロビンの雨漏りする部屋を訪ね、金に困る者同士で話す。そこへチェニが現れ、二人へある案を持ちかける。
チェニは、祖母ジョンボクから金を引き出すため、自分が誘拐されたように見せる計画を思いついていた。ギョンフンもロビンも驚くが、チェニに押し切られるように話へ乗る。三人はチェニを縛った状態で、偽の身代金映像を撮る。
ところが撮影の途中で、チェニが突然動かなくなる。もともと心臓に深刻な問題を抱えていたチェニは、その場で本当に危ない状態に陥る。ギョンフンもロビンも何が起きたのか分からず、倒れたチェニを前に混乱する。
同じ頃、ジョンボクはチェニの姿が見えないことを心配し、元警察官のク・ジュンモへ捜してほしいと頼む。
ギョンフンとロビンは、チェニをどうしていいのか分からないまま、彼女の体を運んで廃棄場へ向かう。だがそこには、失踪事件と廃棄場の様子を調べに来たウンジョンがいた。
ウンジョンは二人の様子を怪しみ、隠しているものを見ようとする。ギョンフンとロビンは必死にごまかすが、ウンジョンは引かない。もみ合う中で、チェニの体はボンパルが触れたものと同じ不気味な液体へ落ちる。
さらにギョンフンとロビンまで、その液体へ落ちてしまう。ウンジョンだけは触れず、その場に残る。
液体へ落ちたはずのチェニの体は、いつの間にか消えていた。ウンジョンはすぐ警察へ通報し、ギョンフンとロビンが死体を捨てようとしていたと説明する。二人は違うと訴えるが、状況はどう見てもおかしい。
すると警察官は、三人の後ろを見て、あそこにいると指さす。振り返ると、死んだはずのチェニが立っていた。
その後、雨の中でスーツケースをめぐってもみ合った時、ウンジョンがひそかに何かの力を使い、チェニを守っていたことが示される。チェニ、ギョンフン、ロビンは廃棄場の液体に触れ、ウンジョンはそれ以前から別の秘密を抱えたまま、チェニの前に立っていた。
ワンダーフールズ:第2話あらすじ
チェニが何事もなかったように姿を見せると、ウンジョンはその場で言葉を失う。たしかにチェニの体を見たはずなのに、ほんの数分後には普通に立っていたからだった。
救急隊が来ると、チェニはロビンとギョンフンへ、偽装誘拐のことは絶対に警察へ話さないでほしいと頼む。二人はまだ動揺していたが、チェニにとっては祖母に知られることのほうが何より怖かった。
一方、ジュンモはジョンボクへ電話をかけ、チェニの携帯の位置情報が済州島を示していると話す。だがその直後、GPSは急にヘソン市へ戻る。ジョンボクは不審に思いながらも、無事を願うことしかできない。
ジョンボクはチェニの部屋で、自分宛てに残された手紙を見つける。警察署ではウンジョンがロビンとギョンフンから話を聞いていた。二人の供述にはどこか不自然なところがあり、ウンジョンは嘘が混じっていると見抜く。それでもすぐ大きな事件として扱おうとはしない。
ロビンとギョンフンは病院へ行き、チェニと話す。一度死んだように見えたこと、廃棄場の液体へ落ちたこと、そして生きて戻ったことを三人で確かめる。チェニはもう一度、偽装誘拐のことをジョンボクに知られたら終わりだと念を押す。
だがジョンボクは、その会話を病室の外で聞いていた。チェニはあわててクローゼットへ隠れる。ところが次の瞬間、チェニは病室ではなく時代劇の撮影現場にいた。
突然知らない場所へ出たチェニは混乱する。ジョンボクがクローゼットを開けても、中にはチェニがいない。しばらくすると、チェニは再びクローゼットの中へ戻ってくる。本人にも何が起きたのか分からず、ただ息をのむ。
一方、宗教団体に連れて行かれた老人は、ぼんやりした意識の中で過去を思い出す。彼は以前、研究所の警備員として働いていた。そこでは子どもたちが実験対象にされ、番号で呼ばれていた。
老人は火災の中で、3972番の少年を助けたと語る。その少年が成長し、ヘソン市へ戻ってきたことも示される。
続いて、ハウォンド研究所で進められていたWunderkid Projectの過去が明かされる。孤児の子どもたちは研究所へ連れてこられ、化学物質を注射される。普通の生活から切り離され、能力を引き出す実験に使われていた。
ウンジョンは子どもの頃の悪夢から目を覚ます。彼こそが、かつて患者番号3972と呼ばれていた少年だった。ウンジョンはチェニにも同じ研究の影があるのではないかと考え始める。
病院では、ジョンボクがチェニの足の異変に気づく。以前あった血栓のような症状が消えていた。ジョンボクは医師へ再検査を求める。結果、チェニの体は完全に回復していた。
ジョンボクは大きな衝撃を受ける。命を心配していたはずなのに、その病気そのものが消えていたからだった。ジョンボクは家へ戻ると、チェ・ヨンジュンへ電話をかけ、チェニの体に起きたことを伝える。
その夜、ロビンにも変化が現れる。ギョンフンと言い争いになったロビンは、傷ついた勢いで物を投げる。するとそれは壁へ穴を開けるほどの力で飛んでいく。ロビンは自分の力に驚き、何が起きたのか分からなくなる。
ギョンフンにも異変が出る。妻と話している最中、冷蔵庫へ手がくっついて離れなくなる。必死に引き離そうとしても取れず、さらに混乱する。廃棄場の液体へ落ちた三人に、それぞれ違う変化が表れ始めていた。
翌日、ジョンボクはチェニへ、病気が治ったと伝える。世界を見に行きたいなら行ってもいいとも言う。ただし、すぐ自由にするのではなく、まずポイントをためて旅に出る資格を得るよう条件を出す。
そこへチェ所長からジョンボクへ電話が入り、ジョンボクは部屋を離れる。チェニとロビンは、自分たちに何が起きたのかまだ受け止めきれずにいた。
ウンジョンはチェニに会いに来る。前夜の出来事を問いただし、Wunderkinderを知っているかと聞く。チェニとロビンは知らないふりをしてウンジョンを追い返すが、そのあとで大事なことに気づく。偽装誘拐の証拠になるビデオカメラと、チェニのスーツケースを温室へ置き忘れていた。
チェニは急いで温室へ向かう。ウンジョンもひそかに後を追う。ウンジョンはチェニが本当に死なない体なのかを確かめようとし、その反応を見ようとする。
温室では、廃品回収業者がビデオカメラを見つけていた。ウンジョンは中身を確かめ、チェニの偽の身代金映像と、彼女が死んだように映っている場面を見る。疑いはさらに強くなる。
そこへギョンフンもビデオカメラを探しに来る。ギョンフンは、ウンジョンが力を使って温室を壊すところを見てしまう。温室は崩れ始め、チェニが下敷きになりそうになる。
その瞬間、チェニの姿は温室から消える。次に彼女が現れたのは、中国近くの船の上だった。突然の場所に驚き、何が起きたのかも分からないまま周囲を見回す。
同じ頃、ギョンフンは車のハンドルから手が離れなくなる。そこへ妻から電話がかかり、携帯電話ももう一方の手へくっついてしまう。どうにもできず、追い詰められる。
妻に対して感情をぶつけた瞬間、くっついていた物が外れる。ギョンフンは、自分の力がただ物にくっつくだけではなく、言えずにいた本音や感情とつながっているのではないかと気づき始める。
温室では、ウンジョンが力を使った姿をキム・パルホが見ていた。パルホはウンジョンを患者3972として認識する。ウンジョンの正体は、研究所側の人間にも知られてしまう。
ジュンモはチェニの位置情報を確認し、中国を示していることに驚く。チェニが普通ではありえない移動をしているのではないかと疑い始める。
船上へ飛ばされたチェニは、状況を理解できないまま危ない視線を向けられる。逃げ場のない船の上で、チェニは突然銃を向けられる。
その頃、ハ・ウォンド博士はチェ・ヨンジュンのもとを訪ねる。研究所の過去を知るヨンジュンの前に現れたウォンドは、静かに追い詰めていく。やがてチェ・ヨンジュンは命を落とし、研究所の秘密を知る人物がひとり消える。
感想
食堂で玉ねぎをむくチェニの場面から始まるのに、少しずつヘソン市そのものが妙な場所へ見えてくる流れが良かったです。ジョンボクへ旅費を頼む場面も、ただのわがままではなく、本当に外の世界を見たい気持ちがにじんでいて、偽装誘拐まで考えてしまう危うさにも切実さがありました。
ウンジョンがスーツケースを疑う雨の場面は、チェニとの噛み合わなさがそのまま出ていて印象に残ります。そのあと廃棄場の液体へ落ちたチェニ、ロビン、ギョンフンにそれぞれ異変が起きて、ロビンの怪力やギョンフンのくっつく手が、本人の情けなさまで含めて妙に人間くさく見えるのも面白かったです。
クローゼットから撮影現場へ飛ばされるチェニや、中国近くの船へ現れる場面には思わず笑ってしまいながらも、ウンジョンの3972番という過去が出てくると急に空気が変わります。にぎやかな町の裏で、誰が研究所の記憶を抱えたまま生きているのかが気になって残る入り方でした。
