『サラ・キムという女』第4話・第5話では、モク・ガヒ、キム・ウンジェ、サラ・キムという名前が一本の線でつながり始めます。ブドゥアをめぐる金の流れと、貯水池近くで見つかった女性の正体が重なり、ムギョンの捜査は思わぬ方向へ進んでいきます。
サラ・キムという女:第4話あらすじ
貯水池の近くで遺体が見つかり、警察はカン・ジホンの安否を気にして現場へ向かう。ところが、心配されたジホンは無事だった。手を負傷した姿でムギョンの前に現れると、開口一番、自分がサラを手にかけたと言い出す。
ムギョンはすぐにジホンから話を聞く。そこでジホンは、サラが以前はキム・ウンジェという名で動いていたと明かす。彼は当時、エスコートの仕事をしており、ウンジェと知り合ってから次第に特別な感情を抱くようになったという。ウンジェは、自分はホン・ソンシンの妻であり、ひどい扱いを受けながらも逃げ出せずにいるように見せていた。ジホンはその姿を信じ、彼女を救いたいと思うようになる。
だがムギョンは、その供述をそのまま信用しない。話の流れに、自分に都合のいい形へ寄せている部分が多かったからだった。それでも、キム・ウンジェという別の名前が出たことで、モク・ガヒのあとに別の身分で生きていた時期があったことは見えてくる。
ジホンの記憶の中のウンジェは、表向きは守られる側の女に見えながら、裏ではまったく違う一面を持っていた。ジホンを頼る一方で、自分の仕事にも関わらせ、ブドゥアの内情まで見せていたのだ。そこでは高級ブランドをうたっていながら、バッグに使われる素材は安っぽく、掲げる価値と実物に大きな隔たりがあった。ジホンはその実態を知っても離れられない。ウンジェへの思いが残っていたため、彼女の嘘を知るほど、かえって深く入り込んでいく。
ムギョンはさらにホン・ソンシンにも接触し、過去の関係を確かめる。ソンシンは腎臓を患っており、ウンジェと条件付きの取引を交わしたと話す。1年間の偽装結婚と腎臓提供、その見返りとして金を渡し、あわせて彼女の身分作りにも協力したという。オックスフォード出身という経歴も、上流層に通じる話し方も、不自然に見えないための細かな設定も、その中で用意されたものだった。
ソンシンはまた、ウンジェが最初から自分を狙って近づいてきたことに途中で気づいたとも話す。それでも縁を切らなかった。自分を利用する女だと分かっていても、その計算の速さと這い上がろうとする執着を見ていたからだった。ムギョンはその証言を聞き、モク・ガヒはただ姿を消したのではなく、新しい人生を作り込みながら上の世界へ入り込んでいったのだと確信する。
こうして、モク・ガヒ、キム・ウンジェ、サラ・キムという三つの名が一つにつながっていく。借金に追われていた百貨店販売員の女は、一度死んだことにされ、その後はキム・ウンジェとして現れ、さらにサラ・キムへと変わっていた。名前が変わるたび、そばにいる男も、動く金も、手にする立場も大きくなっていた。
それでもジホンは、自分がサラを殺したと繰り返す。だがムギョンは自白よりも遺体の状態を見直す。そこで大きな食い違いが浮かび上がる。ソンシンの話が事実なら、サラの体には腎臓移植の手術痕が残っているはずだった。ところが、発見された女性の遺体にはその痕跡がない。ムギョンはその時、被害者だと思って追ってきた女が、そもそもサラ本人ではないと気づく。
遺体の正体が揺らいだことで、事件全体の見え方も変わる。亡くなったのは誰なのか。サラは今どこにいるのか。ジホンの告白も、被害者がサラであるという前提の上では成り立たなくなる。ムギョンは、サラを死んだ女としてではなく、生きている容疑者として追うことを決める。
警察はただちにサラの行方を追い始める。全国に手配を広げ、モク・ガヒでもキム・ウンジェでもサラ・キムでもない、今の彼女の姿を探しにかかる。ムギョンは、何度も顔を変えてきたその女が最後にどんな姿で現れるのかを待つ。
サラ・キムという女:第5話あらすじ
サラは自ら警察署へ現れ、逃げる様子もなく取り調べに応じる。ムギョンは、ブドゥアへの投資金の流れやブランドの実態を突きつけ、詐欺として崩そうとする。ところがその直後、ヨジンがブドゥアに入れていた150億ウォンが全額返済されていたことが判明する。被害者が損失を受けたという前提が崩れ、ムギョンの狙いは大きく揺らぐ。
サラはそこを逃さない。返すべき金を返しただけだと言い、契約も取引も成立していたと主張する。ブドゥアの商品についても、安価な部材を使っていても最終工程をイギリスで行っている以上、「Made in England」という表記は違法ではないと切り返す。高級ブランドとしての物語を売っただけで、違法表示ではないという理屈だった。
ムギョンは、サラがいつものように、完全な虚偽ではなく逃げ道の残る形で話を組み立てていると感じる。王族とのつながりについても、自分から明言したわけではない。周囲が勝手に受け取った部分まで自分の責任にはできない。サラはそうした態度で、演出と違法行為の境目を巧みにすり抜けようとしていた。
捜査はブドゥアそのものにも及ぶ。華やかなブランドの裏で、どこまでが演出でどこからが犯罪なのかが一つずつ問われていく。だが中身を確認するほど、正面から違法ブランドと断じるのは難しくなる。ムギョンは、サラを追っているはずなのに、肝心の輪郭がはっきりしなくなっていく感覚を覚える。
ヨジンの態度も変わっていた。以前のようにサラを強く責めず、取り調べでも明確に断罪しない。投じた金が戻った以上、自分が被害者として前に出る理由は弱くなる。もともと憧れと怒りが入り混じっていた相手だっただけに、金の問題が片づいたことで感情の向きまで曖昧になる。ムギョンは、ヨジンが引いたことで詐欺立件の支えを一つ失う。
その影響でムギョンは内部でも責められる。口座凍結の判断をめぐって責任を問われ、金融犯罪班や上司からも圧力を受ける。表ではサラに逃げ道を許し、内側では自分の捜査まで揺らぎ始める。それでもムギョンは手を緩めない。サラが警察に自分から現れた以上、別の綻びがあるはずだと見て、供述の細部を何度も洗い直していく。
その中でムギョンは、サラの発言に引っかかる部分を見つける。遺体の状態について、現場を知らなければ口にできないような内容を自然に話していたのだ。被害者として追われていた女が、死体の状況を知りすぎている。ムギョンはその瞬間、詐欺より先に追うべきものがあると気づく。
サラは、ただ事業の境界線を渡り歩いていた女ではなかった。最初の遺体事件が起きる前から、その結果を知っていた可能性がある。ムギョンの中で、捜査の軸ははっきりと切り替わる。ブドゥアが違法かどうかではなく、あの遺体が誰なのか、そしてサラがそこにどう関わっていたのかを追わなければならない。
それでもサラは、取り調べの場で表情を崩さない。詐欺では崩せず、事業の実態でも決定打は出ない。だがムギョンは、彼女がいちばん隠したいのは金の流れではなく、最初の死と自分の立ち位置だと見抜く。被害者の顔で現れた女は、いつの間にか事件の設計そのものに組み込まれていた。
感想
サラの名前が増えるたびに、彼女自身が遠くなっていく感じがありました。ジホンの前では助けを求めるキム・ウンジェとして現れ、ホン・ソンシンとの関係では身分も経歴も作り込み、ブドゥアでは上流の空気まで身につけている。そのどれもが完全な嘘と言い切れないところが、サラのいちばん怖い部分に見えました。
特に、バッグの素材や「Made in England」の説明をめぐる場面は印象に残りました。安価な部材を使っていても、最後の工程をどこで行うかで言い逃れができる。サラは感情で押し切る人ではなく、相手が信じたい物語を先に用意しておく人なのだと思います。ヨジンの150億ウォンが返されたことで、ムギョンの立場まで揺らいでいく流れももどかしかったです。
それでもムギョンが、見つかった女性に手術痕がないことや、サラが現場を知らなければ話せない内容を口にしたことに気づく場面で、ようやく追うべき相手の輪郭が変わりました。サラ・キムは被害者の顔をして戻ってきたのに、誰よりも事件の先を知っているように見えるのが不気味でした。
