キリゴ第1話から第3話は、願いをかなえるアプリをきっかけに、セアたちの学校生活が少しずつ壊れていく序盤です。ヒョンウク、ゴヌ、ナリの間にあった小さなすれ違いが、キリゴの通知とタイマーによって別の意味を持ち始める。赤い携帯電話へ近づくほど、過去の出来事までつながって見えてきます。
キリゴ:第1話あらすじ
2005年3月12日、ド・ヘリョンは教室で動画を残し、強い恨みを込めた願いを口にしたあと、そのまま命を落とす。
それから時が過ぎ、ユ・セアたちはいつものように登校する。セアとキム・ゴヌは周囲に隠しながら親しく過ごし、イム・ナリはその空気に気づきながらも何も言わない。チェ・ヒョンウクは軽口をたたき、カン・ハジュンには壊れたノートPCの修理を頼む。
教室では数学のテストが返され、普段は優等生でもないヒョンウクが満点を取り、みんなを驚かせる。ヒョンウクは得意げに、自分は「キリゴ」というアプリを使ったのだと話す。名前と四柱推命の情報を書き込み、願いを込めた動画を送れば、その願いがかなうというものだった。友人たちは半信半疑で流すが、ヒョンウクのスマホには願いがかなったという通知が届き、見慣れないカウントダウンまで表示される。
ヒョンウクは最初こそ面白がるが、少しずつ様子が変わっていく。ナリはもともとヒョンウクを嫌っていて、からかわれるたびに強く拒む。セアとナリの間にもゴヌをめぐる気まずさがあり、友人グループは表向きつながっていても、どこか噛み合わない。ヒョンウクはその中で、自分だけが外れているような思いを強めていく。
一方でセアは、ゴヌの不調を気にしていた。ゴヌは過去の失格を引きずり、高跳びに自信をなくしている。そんな中、セアにはコーチから国家代表候補チーム入りの話が届く。セアは戸惑いながらもそれを受け止め、夜にはゴヌと喜びを分け合う。だがそのせいで、ヒョンウクの誕生日会には行けなくなってしまう。
その頃、ヒョンウクのまわりではさらに不気味なことが起き始める。誰かが友人たちの陰口を聞かせ、ヒョンウクを追い詰めていく。笑われているのではないか、嫌われているのではないかという思いが膨らみ、表情も言動も荒れていく。並行して、ハヨンとパンウルというシャーマンのような存在も現れ、キリゴの背後にただのアプリでは済まないものがあることがにおわされる。
そんな中、ゴヌは軽い気持ちでキリゴを使ってしまう。セアの新しい練習日程がなくなれば誕生日会に行けるかもしれないと考え、深く考えないまま願いを送る。冗談のような願いだったが、その瞬間からゴヌもまた、見えない何かへ足を踏み入れる。
翌日、教室ではヒョンウクのタイマーが限界に近づいていた。ヒョンウクは明らかに異常な様子を見せ、周囲もただ事ではないと気づく。セアやハジュンは止めようとするが、ヒョンウクは苦しみながら正気を失っていく。助けを求めるような顔を見せたかと思うと、そのまま取り返しのつかない行動に出て、教室で命を落とす。
セアはその光景を前に言葉を失う。キリゴはただの悪ふざけでも噂でもなく、本当に願いをかなえ、そのあとに深刻な代償をもたらすものだった。そしてヒョンウクの一件で終わらず、すでにゴヌもそのアプリを使ってしまっていた。
キリゴ:第2話あらすじ
幼い頃のセアとゴヌは同じマンションで出会う。その後、両親を亡くしたセアが学校で「呪われている」と噂された時も、ゴヌ、ナリ、ハジュン、ヒョンウクがそばにいた。5人が一緒にいるようになったのは、その頃からだった。
現在に戻ると、ヒョンウクの一件は警察によって自殺として処理される。だがセアは納得できない。前の夜、誕生日プレゼントを届けに行った時のヒョンウクの様子が引っかかっていた。ヒョンウクは、セアからかかってきたはずの電話に違和感を覚え、誰かが声や通話を使って自分を追い込んでいるようだと不安を口にしていたからだった。
学校では、みんながまだヒョンウクの一件を受け止めきれないまま時間が流れる。そんな中、コーチが突然、練習中止を口にする。その言葉を聞いた瞬間、セアはゴヌが軽い気持ちでキリゴに願いを送っていたことを思い出す。するとすぐに、ゴヌのスマホへ願いがかなったという通知が届き、画面にはヒョンウクの時と同じカウントダウンが現れる。
セアはすぐ異変を察し、ゴヌを止めようとする。ゴヌもようやく事態の重さに気づくが、もう遅かった。セアたちは急いで集まり、アプリを消そうとし、スマホの電源を切り、壊す方法まで考える。だがキリゴは消えず、タイマーも止まらない。願いがかなった瞬間から、深刻な異変までの時間が動き出す。その流れがゴヌの身にも重なる。
5人はセアの家に集まり、どうにか抜け出す方法を探す。ナリはまだ信じ切れず、セアの言葉にも反発する。ハジュンはスマホの中身を調べ、普通のコードのように処理できないか試すが、普通のアプリとは違いすぎて手が出せない。みんなが焦る中、ゴヌの様子が急におかしくなる。
ゴヌは何かに取りつかれたように目をこすり始める。見えてはいけないものが見えているように怯え、誰にも見えない何かを振り払おうとする。やがて取り乱したゴヌは自分の目元を傷つけ、周囲の声も届かなくなる。セアたちが止めようとしても、ゴヌは暴れながらハジュンに危険な行動を向ける。
このままではハジュンが危ないと感じたセアは、とっさに近くにあったノートPCをつかみ、ゴヌを止める。ゴヌはその場に倒れ、大きな負傷を負ったまま動かなくなる。セアもナリもその光景の前で固まり、ハジュンは息を整えながらようやく助かる。だが事態は収まらず、ゴヌはそのまま病院へ運ばれる。
病院でゴヌはICUに入り、セアは周囲から責められる。助けようとしてやったことでも、ゴヌを傷つけたのは事実だった。セアは何も言い返せず、自分のせいでまた大切な人を失うのではないかという不安に飲み込まれる。
その頃、ハジュンのもとには姉のハヨンから連絡が入る。ハヨンはキリゴの正体を「主具」と呼ばれる不穏な霊的存在だと話す。今はスマホアプリの形を取っているが、本質は人の願いと悪意を媒介に広がるものだった。画像や動画のように、思念を乗せられるものを通して広がると聞かされ、ハジュンはこれがただの不具合やハッキングではないと知る。
セアはその話を聞き、逃げるのではなく、自分から異変の中へ入ろうと決める。ゴヌを助けるためには、見えないものを見えるようにしなければならないと考え、自分でもキリゴを使う覚悟を固める。彼らを危険にさらしている存在を見たい。その願いを口にした時、セアもまた異変の側へ踏み込む。
やがてゴヌの容体は不自然なほど急に回復へ向かう。だが安心する間もなく、ナリはセアの家でゴヌのスマホを見つける。そこで自分のスマホを取り出し、二つのタイマーを見比べる。片方はもう一方より八時間ほど早く進んでいた。ナリは黙ったままその画面を見つめる。
そして、どちらか一方のタイマーが止まる。ナリもまた、すでに願いを使っていた。
キリゴ:第3話あらすじ
ゴヌを助けるため、セアは自分でもキリゴに願いを送る。異変に気づいたハジュンはすぐにセアを連れ出し、姉のハヨンのもとへ向かう。これまでハジュンは姉は海外にいると話していたが、それは嘘で、ハヨンは山の中で巫堂として暮らしていた。
セアとハジュンはタクシーで山へ向かうが、途中で倒木に道をふさがれ、その先は歩いて進むことになる。ようやくたどり着いた家にはハヨンとパンウルがいた。だがセアが着いた直後、病院にいるはずのゴヌから電話がかかってくる。セアは思わず出ようとするが、ハヨンはすぐにそれは本物のゴヌではないと見抜く。不気味な存在がゴヌの声を使ってセアを引き寄せているのだと告げる。
その言葉の通り、セアは電話の向こうへ引き込まれたように動けなくなる。体が固まり、目にも異変が起き、意識まで奪われそうになる。ハヨンとパンウルはすぐに儀式の準備へ入り、セアをその場に横たえる。ハジュンは見守ることしかできず、パンウルから中へ入るな、触るなと強く止められる。
儀式が始まると、セアは異界のような場所で目を覚ます。そこに現れたハヨンは、ここから無事に戻るには三つの扉を通らなければならないと告げる。どんなことがあっても後ろを振り向いてはいけないと念を押され、セアは先へ進む。
最初の扉の先でセアが見たのは、ヒョンウクの一件が起きた教室だった。あの日の光景がそのまま広がり、ヒョンウクは助けを求める。セアは思わず足を止めそうになるが、それが本物ではないと気づき、振り切るように走る。声をかけられても振り向かず、その場を抜けて次の扉へ向かう。
次に待っていたのは、両親を失った事故の日だった。セアはあの時と同じように二人を見て、置いていけない思いに引き戻される。声を聞くだけで足がすくみ、今度こそ戻ってしまいそうになる。それでもセアは歯を食いしばり、時間が尽きる寸前で次の場所へ進む。
現実ではハジュンが儀式を見守りながら不安を募らせていた。セアが戻らなければどうなるのかも分からず、自分もキリゴを使って何かできないかと迷う。だがパンウルはそんなハジュンの動揺を見抜き、軽々しく手を出せばもっと悪くなると止める。ハジュンは何もできないまま、姉が力を振りしぼって儀式を続ける姿を見るしかない。
三つ目の扉の先で、セアはさらに深い場所へ追い込まれる。赤く染まった空間の中で、赤い糸につながれた赤い携帯電話が現れる。その近くには、深い傷を負った制服姿の少女の霊までいた。セアはその異様な光景を前に立ち尽くすが、それがキリゴの異変とつながるものだと感じる。
その頃、現実では儀式の空気がさらに険しくなっていた。セアが危険なものに触れたことで、不気味な気配が強まり、ハヨンは自分の身を削ってセアを守る。最後はハヨンが大きな痛手を負いながらも、どうにかセアを現実へ引き戻す。セアは目を覚ますが、ハヨンはすぐには動けないほど消耗していた。
儀式のあと、ハヨンはキリゴの正体をセアに話す。あれは強い復讐心を抱いた存在が、今はアプリの形を取って広がっている異変だという。そして完全に断つには、異界でセアが見た赤い携帯電話を見つけて壊さなければならないと教える。それが媒形であり、異変の核になっていた。今のセアは現実と異界の両方につながっているため、その媒形を探し出せるかもしれないが、そのぶん最も危うい立場にも置かれていた。
一方その頃、病院ではゴヌが回復しつつあった。そこへナリが現れ、セアはもう会いに来ないと嘘をつく。行方が分からないように話し、ゴヌの不安につけ込む。ゴヌは何も知らないままその言葉を聞き、セアとの間には少しずつ誤解が入り込んでいく。
家に戻ったセアは疲れ切って横になるが、眠ろうとしても目の前に赤い雨のような光景が浮かぶ。異界から戻っても、異変とのつながりは切れていなかった。セアは赤い携帯電話のことを思い出しながら、まだ終わっていないと知る。
感想
セアとゴヌ、ナリ、ハジュン、ヒョンウクの5人が、最初から本当に同じ場所を見ていたわけではなかったのだなと感じました。教室でヒョンウクが「キリゴ」の話を得意げにする場面は、ただの悪ふざけみたいなのに、その後のカウントダウンが出た瞬間から、彼の寂しさまでアプリに拾われてしまったようで嫌な気配が残りました。
ゴヌが軽い気持ちで願いを送ってしまう流れも、責めきれないところがつらかったです。セアの練習日程が変われば誕生日会に行けるかもしれないという発想は幼いのに、その願いが現実に触れてしまう怖さがありました。セアがノートPCでゴヌを止める場面は、助けたい気持ちと取り返しのつかなさが同時に来て、見ていて苦しくなりました。
ハヨンとパンウルの家に向かってからは、学校の噂だったキリゴが一気に別の世界へ広がった感じがしました。ヒョンウクの教室、両親との記憶、赤い糸につながれた赤い携帯電話が、セアの中に残っていたものを順番に引っ張り出していくようでした。ナリがゴヌに嘘をつく場面まで含めて、アプリよりも人の隠した気持ちのほうが怖く見えてきました。
