「素晴らしき新世界」第11話・第12話では、事故のあとを境に、ソリの居場所とチャイルグループの内部争いが同時に大きく動き始めます。眠りの中でソリの意識は朝鮮へ引かれ、現代に残っていられる時間にも終わりの気配が差し込みます。セゲが彼女を手放したくないと願うほど、ソリの胸には離れるかもしれない不安がふくらんでいく回でした。
素晴らしき新世界:第11話あらすじ
突然店へ車が突っ込んだあと、ソリとダルスは重傷のまま病院へ運ばれる。知らせを聞いたセゲはすぐ病院へ向かうが、ソリは意識を失ったまま目を開けない。ダルスも同じように倒れ、あたりには重い空気だけが残る。
その間、ソリの意識は現代にはなかった。目を開けると、そこには朝鮮の風景が広がっている。病院で眠っているはずなのに、意識の中ではダンシムとして立っている。夢なのか本当なのか、自分でも境目が分からない。
やがてクムボサル側の話から、ソリは自分に帰る定めがあることを知る。今のまま現代にとどまれるとは限らず、時が来れば本来いるべき場所へ戻るかもしれない。その話を聞いた瞬間、セゲと過ごせる時間が思っていたより短いのではないかと、ソリは初めてはっきり意識する。気持ちを確かめたあとに、別れの気配が先に近づいてくる。
一方のセゲは、会社のこともテヒのことも脇へ置き、ただソリの無事だけを気にしている。目を覚ますかどうか、その一点しか頭にない。どれだけ別の問題が持ち込まれても、今のセゲにとって最優先なのはソリだった。
だが、その隙を見てムンドが動き始める。ダルスが倒れたことで空いた場所を狙い、チャイルグループの中で一気に力を集める。ダイナスティの商品に問題があるような話を流し、株主を動かし、緊急理事会まで進める。事故の混乱が消えないうちに、会長の席へ近づこうとする。
さらにムンドは、セゲの周囲を一つずつ崩していく。味方の人間を外し、ダルスの娘たちまで押さえにかかる。薬のすり替えや盗聴の件も、今度は看護師の死へつながり、セゲを疑わせる材料として使われていく。後継者争いは、もう表向きの競争では済まないところへ入っていく。
その頃、目を覚ましたソリの中でも別の揺れが始まっていた。知らないはずの記憶が突然入り込み、見たことのない場面なのに胸の奥へ残る。自分のものではないはずなのに、妙に懐かしい。ダンシムの記憶だけではなく、本来のシン・ソリのもののような断片まで混ざり始めていた。
帰る運命を知ってから、ソリはセゲとの時間が永遠ではないと考えるようになる。だからこそ、借りてきた名前で生きてきたことに区切りをつけ、最後を自分で整えようとする。セゲを嫌いになったのではない。むしろ逆で、これ以上深くつながれば、そのぶん離れる時の傷も大きくなると分かっているからだった。ソリは少しずつ心の中で別れの準備を始める。
そうして表では落ち着いて見せながらも、ソリの内側では不安が膨らんでいく。セゲは彼女が何かを抱えていることには気づいても、それが別れを見すえたものだとはまだ分からない。二人の間にはまた、言えないものが積もっていく。
終わり近く、ソリは撮影セットの中で閉じ込められるような状況に追い込まれ、そのまま倒れてしまう。心も体も限界に近いところへ、抱えていた不安まで一気に押し寄せる。駆けつけたセゲが見つけた時、ソリはもう一人で踏ん張れなかった。
セゲの腕の中で意識を取り戻したソリは、ようやく押しとどめていたものを隠せなくなる。離れなければならないかもしれない怖さも、これまで飲み込んできた苦しさも全部こぼれてしまう。ソリは子どものようにセゲへしがみつき、その胸の中で泣き崩れる。
素晴らしき新世界:第12話あらすじ
ジヒョは酒に酔ったまま昔の恋を引きずり、グァンナムに世話を焼かれていた。相手はすでに前へ進んでいるのに、自分だけが取り残されたようで、ジヒョは投げやりになる。グァンナムはぶつぶつ言いながらも放っておけず、そのまま付き添う。
一方、セットで倒れたソリはセゲの家へ運ばれ、看病を受けることになる。目を覚ましても、頭の中に流れ込む記憶の意味はまとまらない。自分はカン・ダンシムとしてシン・ソリの体を借りているのだと思ってきたが、それだけでは説明できないものが増えていく。
その頃、クム・ジョンエはまた妙な幻を目にする。朝鮮時代の自分に似た女、カン・ダンシムの手配書、姿を変えたダンシムが子どもに名を告げる場面まで見える。ジョンエはそれがソリの記憶や魂の問題へつながっていると感じながらも、まだ答えまでは届かない。
セゲは会社の問題をいくつも抱えていても、以前のように野心だけで動かなくなっていた。バイオジェイの危機も、チャイルの争いも続いているのに、今の彼にとって大切なのはソリと過ごす時間だった。ムンドが刑事まで動かしてセゲを引きずり込もうとしても、気持ちはそこへ向かわない。
ソリが目を覚ますと、セゲはネックレスを渡し、朝鮮風の朝食まで用意する。少しでも明るい時間をつくりたいという思いがそのまま表れていた。百日を意識していたセゲにとって、それは恋人として自然にしたいことだった。だがソリは、あと二週間で帰らなければならないかもしれないと知っている。幸せな時間ほど、その終わりが重くなる。
車で送られる途中、ラジオから不穏な星が二週間後に軌道を離れるという話が流れる。ソリはその言葉を聞き、自分の帰還と結びつけてしまう。隣のソン室長は、ソリが現れてからセゲの人生が変わったと何気なく話すが、その言葉さえソリには別れの重さとして残る。
ソリはジョンエのもとを訪ね、見えている幻について聞く。二人は、現代のシン・ソリの魂が朝鮮時代のカン・ダンシムの体へ入っていたのではないかと考え始める。ソリはまだ半信半疑だが、入り込む記憶が増えるほど、ただ体を借りているだけではない気配が濃くなる。
ダルスは昏睡から目を覚ます。だが事故前後の記憶を失っていて、ムンドのこともまだ忠実な人間だと思っている。ムンドはそこにつけ込み、ダルスを周囲から切り離し、自分の支配を続けようとする。目を覚ましたとはいえ、すぐにセゲの力になる状態ではない。
その一方で、ウンアはソリの屋上部屋へ嫌がらせを続ける。壁には乱暴な落書きがあり、以前の照明トラブルまで彼女が関わっていたのではないかと見えてくる。グァンナムもさすがに見過ごせず、ソリは安全のため、昔住んでいた狭いアパートへ移ることになる。
テヒの側でも別の揺れが起きていた。母は婚約解消を勧めるが、テヒはそれを拒む。母がかつて夫をつなぎ止めようとしたやり方を思い出し、自分もまた同じようにセゲを手放せないのだと知る。テヒは政略の相手というだけではなく、執着と孤独の中にいた。
夜、狭いアパートへ戻ったソリは、前世でチョンホンを待ち続けた記憶を思い出す。側室となったあとも、ダンシムは彼を待っていた。だが返ってきたのは再会ではなく、流刑地で命を落としたという知らせだった。待つことしかできず、何も伝えられなかった時間が今のソリを締めつける。セゲまで同じように待たせるわけにはいかないと、そこでソリは決める。
残された時間を大事にしようとして、ソリはセゲをデートへ誘う。並んで歩く中で、セゲは自分の母の話をする。母は戻ると言って幼い自分をダルスへ預けたが、結局帰らなかった。命を落としたと知らされるまで、セゲはずっと待ち続けていた。その話を聞いたソリは、自分が二週間後に朝鮮へ戻る運命にあることを隠したままではいられなくなる。
ソリはついに、二週間後に朝鮮へ戻る運命だとセゲへ告げる。セゲはその言葉をすぐには受け止められない。やっと互いの気持ちを確かめたばかりなのに、また戻ると言われてしまえば、幼い頃の喪失まで重なってくる。セゲはその場で言葉を失う。
そのあと、ホン代表がソリへシン家の家族写真を渡す。ソリは写真を見た瞬間、幼い頃に水へ落ちた記憶を思い出す。ホン代表は、シン・ソリにそんな記憶はなかったはずだと驚く。さらにオクスンの店を片づけている中で日記を見つけ、その内容を追ううち、幼い頃の記憶が次々と戻ってくる。
ジョンエが言っていた、記憶は魂と結びつくという言葉がここでつながる。もし自分がただシン・ソリの体を借りていただけなら、こんなふうに幼い頃の記憶まで自分のものとして戻るはずがない。ソリはようやく気づく。自分こそが本来のシン・ソリで、過去へ飛ばされ、カン・ダンシムとして生きていたのだと。
その気づきの直後、オクスンの店にはムンド側の男たちと解体チームが押しかける。現実の危機は待ってくれない。セゲも店へ向かおうと動き出すが、ソリは失われた時間の真相へたどり着いたまま、その新しい現実と目の前の荒れた状況を同時に受け止めることになる。
感想
ソリが朝鮮の景色の中で目を覚ます場面は、現代の病室とはまるで違うのに、どちらにも安らげる感じがないところが印象に残りました。カン・ダンシムとしての記憶だけでなく、本来のシン・ソリの断片まで入り込んでくるので、自分が誰としてここにいるのか揺れていく感じが強く伝わってきます。
セゲが会社やテヒのことを後回しにして病院へ駆けつける姿には、もう後継者としての顔より、ソリを失いたくない一人の男としての気持ちが出ていました。その一方で、ムンドがダルスの不在を狙って理事会を動かし、商品疑惑まで利用してくる流れは、セゲの弱いところをよく分かっているぶん嫌な圧がありました。
帰還の運命を知ったソリが、好きだからこそ別れを考え始めるところも苦しいです。撮影セットで限界を迎え、セゲの腕の中でようやく泣けた姿を見ると、ソリには強く見せる場所より、安心して崩れられる相手が必要だったのだと思わされました。
