「素晴らしき新世界」第9話・第10話では、セゲの中で前世につながる違和感がいよいよはっきりし始め、ソリの側も今のままでは隠し通せないところまで追い込まれていきます。現代で近づいた二人の時間に、昔置いてきた思いまで重なり、やっと手にしたぬくもりの横へムンドやダルスの圧力も差し込んできます。穏やかな時間が見えたかと思うたび、すぐ次の壁が立ち上がる流れでした。
素晴らしき新世界:第9話あらすじ
前世では、閉じ込められたイ・ヒョンのもとへダンシムがやって来る。ヒョンは弱いままでは生き残れないと告げ、もう自分には会いに来るなと冷たく突き放す。ダンシムはその言葉を受け止めきれないまま立ち尽くし、二人の間には伝えられなかった気持ちだけが残る。
現代へ戻ると、セゲは夢に何度も出てくるカン・ダンシムという女についてソリへ問いかける。夢の中のその女がソリによく似ていたからだった。ソリはただの妙な夢だと笑ってかわそうとするが、内心ではもう穏やかではいられない。なぜセゲまで前世の夢を見るのか、ソリも考えずにはいられなくなる。
その後、バイオジェイのブランドローンチイベントが開かれる。ソリはなるべくセゲを避けようとするが、セゲは逆に彼女を自分のそばへ置こうとする。そこへテヒまで当然のように現れ、セゲの隣へ立つ。さらに祖父ダルスも姿を見せ、セゲはソリをただの知り合いではなく、ダイナスティのモデルだと紹介する。場に合わせようとしたソリは、慣れない愛嬌まで見せてしまい、その場の空気はどこかぎこちなくなる。
一方でムンドは、セゲのイベントが成功し、祖父の目まで再びセゲへ向き始めたことにいら立っていた。しかも以前セゲの薬に関わった看護師が目を覚まし、姿を消したことで、自分が仕掛けたことまで表へ出る危険が強くなる。ムンドは裏で人を動かしながら、なおも手を打とうとする。
ソリはクム・ジョンエへ、セゲが前世の夢を見ていることを相談する。二人は、セゲが前世のイ・ヒョンの生まれ変わりではないかと考え始める。セゲの側でも、その夢はただの悪夢では済まないものとして残り始めていた。断片が増えるたび、ソリの言葉や目の前の出来事が妙につながっていく。
そんな中、ソリが出演する時代劇へバイオジェイの商品協賛が入る。セゲは台本に目を通し、ソリと相手役の男優の親密な場面を見つけた瞬間、顔色を変える。広告主としての立場をそのまま使い、その場面を別の儀式の場面へ差し替えさせる。表向きは作品の流れを考えたように見せるが、本音は嫉妬そのものだった。
台本が変わったことで、ソリは差し替え後の場面で強い演技を見せる。現場の視線はまたソリへ集まり、ジヒョはその存在感にいら立つ。セゲはそのあと撮影現場まで現れ、相手役の男優へ余計な接触は控えろと釘を刺す。自分は誰なのかと聞かれると、ソリの私生ファンみたいなものだとまで言い出し、隠しきれない独占欲を見せる。
ソリの前では平静を装い、俳優保護のためだと言い訳するが、セゲの気持ちは分かりやすい。頬を差し出して何かを待つような顔を見せるが、ソリはその頬へ飴を押しつけてかわしてしまう。それでも二人の間には前よりずっとはっきりした熱が残る。
その後、セゲは親知らずの手術を受けることになる。普段は強気なセゲも、この時ばかりはソリへそばを離れないでほしいと頼む。眠りに落ちたセゲは、また前世の夢を見る。そこではヒョンがダンシムの描いた梅の絵へ詩を書き込みながら、結局それを渡せず胸へしまっていた。ヒョンはダンシムを恨んでいたのではなく、ずっと恋い慕っていたのだと、その夢がセゲへ伝える。
その話を聞いたソリは、セゲが本当にイ・ヒョンの生まれ変わりなのだと悟る。前世でヒョンと世子イ・ジェがどんな悪縁の中にいたかを知っているからこそ、現世でもムンドを警戒するようセゲへ伝える。そして、もし自分が本当にカン・ダンシムだったらどうするのか、生き延びるためなら何でも捨てる女だったらどうするのかと涙をにじませる。
やがてソリは博物館へ向かう。そこには自分が描いた梅の絵と、半分焼け残ったヒョンの美人図が残されていた。その絵には、ヒョンが最後まで伝えられなかった思いが宿っていた。ソリは前世で彼を胸の奥へしまい込み、何も言えなかった自分を思い出す。さらに回想では、流刑へ向かうヒョンへ自分が作ったお守りを渡そうとした時、世子イ・ジェに止められ、黙って胸にしまえ、それが生きる道だと告げられていたこともよみがえる。
そこでソリは、現世ではもう同じ後悔を繰り返さないと決める。言えなかった思いも、渡せなかった気持ちも、今度は胸の中だけへ閉じ込めない。セゲへまっすぐ向かうことを、自分の意思で選ぶ。
その頃ムンドは、祖父へ働きかけてセゲを米国支社へ飛ばそうとする。だが話は思うように進まず、逆に自分のほうが米国支社長として発令される流れになる。ムンドは米国にいる息子へ会いに行くこともできたはずなのに、それより後継争いへの執着を優先し、さらにゆがんでいく。
そしてセゲは、クリニックに仕掛けられていた盗聴器を見つける。さらに目を覚ました看護師の証言で、ムンドが看護師を買収し、自分の薬をすり替えさせていたことまで知る。セゲはムンドを問い詰めるが、ムンドは逆に、お前は不当にすべてを持っていると恨みをぶつけ、ソリとの関係さえ弱点として使おうとする。ソリと取引したように見える写真まで見せ、グループへ戻るのをあきらめろと揺さぶる。
ソリを守りたい思いが強いからこそ、セゲは一度彼女を遠ざけようとする。ソリのもとへ行き、わざと傷つけるような言葉を並べる。ムンドがどんな取引を持ちかけたとしても、自分のほうがもっとしてやれる、自分はお前になら利用されてもいいとまで言ってしまう。その言葉を聞いたソリは怒りと悲しさでセゲの頬を打つ。
だがセゲはそこでようやく本心を隠せなくなる。ソリの肩へ額を預け、このままでは正気でいられないと吐き出す。お前が誰であっても、どこから来たとしても信じると告げ、自分だけを見てほしいと涙をこぼす。正体への疑いは、その瞬間にはもう拒絶ではなく、全部ごと抱えたいという思いへ変わっていた。
ソリもまた、その言葉から逃げない。前世で言えなかった思いを、現世ではもう手放さないと決めたまま、セゲを見つめ返す。そして二人は涙のまま唇を重ねる。
素晴らしき新世界:第10話あらすじ
ソリはセゲの前で、もうこれ以上隠しておけないと決める。自分が本来のシン・ソリではなく、前世のカン・ダンシムとしてこの体で生きていること、そしてここまで抱えてきた事情をひとつずつ明かす。セゲはすぐには言葉を出せないほど衝撃を受けるが、それでもソリから目をそらさない。信じると口にした言葉を引っ込めることもなく、これからは互いに隠し事をしないと決める。
秘密を分け合ったことで、二人の距離は前より素直になる。ソリは前世では持てなかった普通の時間を今度こそ欲しいと思い、セゲもそれに応える。二人は並んで歩き、笑い合い、ようやく恋人らしい時間を過ごす。南山の景色の中で肩を並べるだけでも、ソリにとっては新しい幸せだった。セゲもまた、仕事と成果ばかり追ってきた自分が、こんな時間を大事にしていることへ気づく。
だが現実はそのまま二人を放っておかない。ダルスは相変わらずセゲへ会社と結婚の話を押しつけ、テヒとの縁談を当然のように進めようとする。セゲはもうその流れへ乗るつもりはなく、テヒとの結婚話にもはっきり距離を置く。後継者という立場を理由に縛られても、今は簡単には従わない。
その頃、ムンドは追い詰められていた。祖父の目は以前よりセゲへ向き、自分は米国支社へ押しやられそうになる。後継争いで不利になるほど、ムンドの焦りは強くなる。セゲ本人を揺さぶるだけでは足りず、今度はソリの大切な人へまで手を伸ばす。
ムンドはオクスンの店を狙う。弱っている祖母の事情を使い、買い取りや圧力をかける形でソリを追い詰めようとする。その話を知ったソリは怒りを抑えきれない。自分のことならまだしも、祖母まで巻き込まれるとなれば黙っていられなかった。セゲもまた、そのやり方へ強く怒るが、怒りはすぐに自分が何とかするという方向へ向かう。
セゲはソリを守ろうとし、自分が前へ出て全部片づけようとする。だがソリはそれをそのまま受け取らない。自分の問題は自分で戦うと言い、ただ守られるだけの存在になるつもりはないと示す。前世でもダンシムは、誰かに守られるだけでは生き残れなかった。大切な人を守るために自分の幸福まで後回しにしてきた。その強さが、今のソリの中にも残っている。
セゲはソリを大切に思うからこそ手を出すが、ソリにはそれが自分の力を信じてもらえていないようにも見える。好きだからこそ守りたい男と、好きだからこそ自分で立ち向かいたい女の間で、二人はぶつかる。近づいたばかりなのに、その近さの中で新しいすれ違いが生まれてしまう。
そんな中でも、ムンドの攻撃は止まらない。セゲは会社の中でも外でも追い詰められるが、ソリを手放す気はない。ソリもまた、前世でイ・ヒョンを守ろうとした自分と同じように、今度は現世でセゲを守りたいと思う。二人とも相手を思っているのに、守り方が違うせいで素直に重ならない。
終盤、ソリはダルスと向き合うことになる。ダルスは感情ではなく、チャイルグループの論理でソリを見る。お前のような立場の人間がセゲにふさわしいのか、本当にセゲのためを思うなら身を引くべきではないかと、静かな声で迫る。テヒやジュランとは違い、グループの頂点にいる人間から直接そう言われ、ソリの胸も揺れる。
それでもソリは簡単には答えない。前世でも現世でも、愛する相手のために自分が消えることばかり求められてきたからだった。セゲのためを思う気持ちは本物だが、それを理由にまた自分だけが退くのが正しいのかは分からない。ソリはその問いを抱えたまま、ダルスと同じ空間へ立つ。
その時、突然トラックが店へ突っ込んでくる。ガラスが砕け、空気が裂ける。ソリもダルスも逃げる間もなく事故へ巻き込まれ、その場は一瞬で崩れる。ソリの意識は遠のき、手元ではセゲからの着信だけが鳴り続ける。
感想
博物館に残されていた梅の絵と、半分焼け残ったヒョンの美人図が強く残りました。前世で渡せなかった思いが、長い時間を越えてソリの前へ戻ってくるようで、ダンシムが胸へしまい込んできた後悔まで伝わってくるようでした。セゲが親知らずの手術中に見た夢で、ヒョンが本当はダンシムを恋い慕っていたと分かる流れも切なかったです。
ソリが自分は本来のシン・ソリではないと明かした時、セゲがすぐ答えを出せないままでも目をそらさなかったところに、この二人らしさがありました。南山で並んで過ごす時間は、前世では持てなかった普通の恋人の時間のようで、ソリの表情まで少し軽く見えました。その分、ムンドがオクスンの店にまで手を伸ばし、ダルスがチャイルグループの論理で迫ってくる場面は、二人の幸せが簡単には許されない現実を突きつけてきました。
守りたいセゲと、自分の足で立ち向かいたいソリがぶつかるところも、ただのすれ違いではなく、お互いを本気で大切にしているからこその痛みに感じました。最後にセゲからの着信だけが鳴り続ける場面が、二人の選んだ幸せをまだ終わらせないでほしいと思わせました。
